Interview 技術も、想いも、
リレーする。
若手が語るDMS開発ストーリー
[前編]

ドライバーの表情や視線から居眠りやわき見などを検出し、ドライバーへの警報や車両の制御につなげる「DMS(Driver Monitoring System/ドライバーモニタリングシステム)」。三菱電機モビリティでは2017年に業界初※の広角カメラ型ドライバーモニタリングシステムを発表して以来、より高度な予防安全の実現に向けて改良・改善を重ねています。

DMSの高い品質は、ひとつの部門だけで生み出されているものではありません。開発が拓いた技術を設計が量産の土台に乗せ、製造がラインで磨き上げ、営業がお客さまのもとへ届ける──。部門の壁を越えてバトンをつなぐ「リレー」こそが、三菱電機モビリティのDMSを支える力です。

そんなDMSの進化と普及に心血を注ぐ7人の若手社員へインタビューを実施。前編・後編にわたり、自らの役割に対する熱意と誇り、未来への展望などについて存分に語ってもらいました。前編では、開発から設計、製造、そして営業へと連携していく「ものづくりのリレー」に焦点をあてます。

※広角カメラ型モニタリングシステムにおいて。当社調べ。

ドライバーモニタリングシステムについて詳しくはこちら

センシング技術を支える、開発チームの掛け合い

DMSは、三菱電機モビリティが誇る総合力の結晶です。このプロジェクトがどのように進み、また、部門間がどのように連携しているのか。ご自身の役割とともにご紹介ください。

村地
  • 開発
  • 村地

私の主な業務はDMSにおける生体センシング技術の開発です。 それ以外にお客さまからの性能要求を満たすための改善点を検討したり、最終的な製品の品質を担保するための各種ドキュメントの整備や標準化を推進したりと、DMSを量産するためのプロセス全体にも関わっています。また、技術営業の立場で営業の上田さんたちと商談に臨む場面も多々あります。さらには、ハードウエア部門と品質改善について検討する機会も多く、山崎さんのいる設計第一課とは週に2~3回の頻度でミーティングを重ねています。

賀川
  • 設計
  • 賀川

DMSが進化するにつれて、ソフト面だけでは実現できないことも増えてきましたからね。

村地
  • 開発
  • 村地

その通りです。 2018年にDMS市場に参入してからセンシング技術もかなり進化し、現在では生体情報から脈拍数や血圧まで測れるようになりました。しかし、そこからさらに一歩という話になると、カメラの構造やフィルターの設計といったハードや構造の部分との連携が欠かせません。「お客さまへより良い製品をお届けする」という目標を実現するために、部門間でのコミュニケーションはこれからますます大切になると思います。

賀川
  • 設計
  • 賀川

加えて、ソフトウエア設計、ハードウエア設計、機構設計がそれぞれの専門性を発揮しながら開発していますので、システム全体の強さというところもDMSの品質につながっていると思います。 その中で私が担当しているのは、村地さんたちが開発したセンシングを含む、DMSにおけるソフトウエア全体のシステムの設計です。センシングはカメラの画像からドライバーの居眠りやわき見を検知・判定するものですが、その信号を車両のECU(電子制御ユニット)が受け取ってドライバーに警報を発するといった、DMSを機能させるためのシステム設計に携わっています。

賀川さんのセクションでは、桑原さんのいる生産技術部門と関わることが多いのでしょうか?

賀川
  • 設計
  • 賀川

そうですね。ソフトウエア部門と製造との間における認識のすり合わせは頻繁に行っていますね。開発コストやタクトタイムといった制約がある中で、ソフトウエア側の理想と生産現場での現実に、いかにして折り合いをつけるか。そこが難しいところですね。最終的にはハードウエアの変更は難しいのでソフトウエア側で調整するケースがほとんどなのですが。

桑原
  • 製造
  • 桑原

ソフトウエア部門にはいつも無理を言って申し訳ないと思っています。それもこれも、より良い製品を、より良い条件で実現するための提案とご理解いただけたら幸いです(笑)。

「小さく、目立たなく」を形にする、開発と製造の掛け合い

山崎
  • 設計
  • 山崎

私の部門では先ほど村地さんが言っていたようにDMSのセンシング部門とも連携しながら、ハードウエアの設計および取りまとめを行っています。
私はその中で、開発初期段階の構成検討から量産まで、一貫して関わっています。資材部門と協力しながら部品選定や原価低減のための策を練ったり、生産技術部門と協力しながら検査規格の適正化による歩留まり改善などを推進したりと、担当業務は多岐にわたります。実際に商談のフェーズになると、営業部門と連携してコスト調整に取り組むなど、横のつながりが広いことも特長といえるかもしれません。

カーメーカーのお客さまからは、どのようなご要望を寄せられることが多いのでしょうか?

山崎
  • 設計
  • 山崎

DMSのカメラはドライバーの視界に入りやすい場所にありますので、お客さまからは「なるべく小さく目立たないように」といったご要望をいただくケースが多いですね。それを検討してくれるのが、こちらの田口さんです。

田口
  • 製造
  • 田口

筐体を小さくするだけであれば技術的に可能でも、そこには少なからず問題が発生するリスクが伴います。その問題点を試作段階で設計側にフィードバックするといった役割も担っています。 並行して私がメインで取り組んでいるのは、生産ラインの生産性改善と品質改善活動です。品質保証部門と混同されてしまうかもしれませんが、私が携わっているのはより現場寄りのポジション。発生した不具合に対して、それが生産ラインに影響する範囲を調べたり、現場ではわからない領域に対して設計や生産技術部門に確認したり、さらには、その情報を品質保証部門と共有したりと、ものづくりの現場と品質保証部門との橋渡し的な役割を担っています。

大岩
  • 営業
  • 大岩

私は支社営業を担当しているので生産現場にはあまり詳しくないのですが、現場での不具合というのはどのようなところから発生するのですか?

田口
  • 製造
  • 田口

設備で発生する不具合もあれば、部品単位で発生するケースもあります。また、製造工程にも不具合のリスクが潜在しています。発生した不具合の影響を最小限に抑えること、不具合を出さないための仕組みづくりを考えることも我々のミッションです。

つくり手から、届け手へ──バトンが動いた瞬間

村地
  • 開発
  • 村地

田口さんのおかげで、プロジェクト全体の品質への意識も向上しているように感じています。

田口
  • 製造
  • 田口

品質改善担当として、DMSのプロジェクトにかかわるチーム全員の意識を高めることも自分の役割と捉えていますので、そのように評価してもらえるとうれしいですね。

桑原
  • 製造
  • 桑原

田口さんから試作段階の問題点を設計にフィードバックするといったお話がありましたが、試作から量産に入るまでの生産基盤を安定化させるのが私たち生産技術部門の役割です。生産技術には実装工程、組立工程、検査工程があり、私が担当しているのは検査工程。DMSにおける検査設備の設計・開発・立ち上げが主な業務です。製品の安定的かつ効率的な検査を実現するため、設計と協力しながら最適な検査手法や設備仕様を日々模索しています。

そうした効率化を推進する中で、設計と熱い議論を交わすこともあるということですね。

桑原
  • 製造
  • 桑原

会社の利益を考えたときに生産技術ができることは、生産効率を上げることや、設備費用を安く抑えることなどです。いずれにおいても、生産技術だけでなく、設計や製造・品管の協力がなければ成し遂げられません。特に、賀川さんとは同期入社でDMSにはずっと一緒に関わっていますので、忖度なく本音で議論できることも、プロジェクトにおいてはプラスに作用しているのではないでしょうか。

村地
  • 開発
  • 村地

研究・開発部門と製造が力を合わせて生み出したDMSを、お客さまへ提案し、さらなる普及のために取り組んでいるのが上田さんと大岩さんですね。

上田
  • 営業
  • 上田

はい、私はDMSをカーメーカー以外のお客さまへ拡販するための営業を担当しています。 具体的なお客さまとしては、保険会社、ドライブレコーダーの関連会社、自動車のリース会社、レンタカー会社などになります。先ほど山崎さんにカーメーカーのお客さまから寄せられる要望についてお聞きしましたが、私が担当している業界にはまだDMSに対する具体的なニーズがなく、こちらからの提案によってニーズを生み出すといった提案型の営業活動が中心になります。

「NO」と言う前に、部門をまたいで動く

ニーズのないところへの提案営業ということは、DMSに対するお客さまの温度差も大きいのではないですか?

上田
  • 営業
  • 上田

そうですね。すでにDMSの導入目的や効果をご理解いただいているお客さまもいらっしゃれば、そもそもDMSをご存じないお客さま、知っていても導入による効果や活用方法をイメージできていないお客さまもいらっしゃいます。そういったさまざまなお客さまの声に耳を傾けながら、DMSに実装可能な機能やコストとの兼ね合いなどについて、今日のメンバーだと村地さんにご相談させていただくことが多いです。

村地
  • 開発
  • 村地

カーメーカー以外のお客さまへの展開はDMSの新たな事業戦略であり、今まで経験したことのない業界・領域に踏み込むことになります。そういう多様なお客さまに対して、DMSが何を実現し、どのような利益を提供することができるのか。上田さんからは、いつもそのようなアイデアを強く求められています。その問いに向き合うことで、開発においても大きな刺激をもらっています。

上田
  • 営業
  • 上田

大岩さんはカーメーカー向けの営業を担当されていますが、お客さまと向き合う上でどのようなことを心がけていますか?

大岩
  • 営業
  • 大岩

皆さんご存じの通り、カーメーカー向けの営業はお客さまとの仕様調整や納入管理、見積業務、あるいは新規案件の受注活動といった仕事がメインになります。その中で心がけているのは、お客さまのご要望に対してその場で「NO」とは言わないということです。対応が難しいイレギュラーなリクエストに対しても、まずはここにいらっしゃる開発や設計、生産技術の担当者に相談するようにしています。やはりコストに関する相談が多くなってしまうのですが、DMSはお客さまが求める機能によって仕様変更することが可能ですので、コスト面における柔軟性も当社ならではの強みと感じています。

賀川
  • 設計
  • 賀川

機能の共通化を図って工数を削減したり、検査のアルゴリズムを高速化したりといったコスト削減への努力は、開発サイドでも絶え間なく続けています。それに加えて、大岩さんの言っていた“機能のすり合わせ”も価格競争力を高める上で重要なポイントになると思います。お客さまから高いと言われて諦めるのではなく「ここまでの機能であればこの価格で実現できます」というように理想と現実をすり合わせていく。そんなお客さま目線の調整も心掛けています。